区画ごとに醸す
8つの斜面をひとつのタンクにまとめません。収穫日も酵母も別々に。混ぜるかどうかは、最後の最後に舌で決めます。同じ品種でも斜面が違えば、別のワインとして扱います。
HP-10 · CONCEPT / 架空案件
Eight slopes · Yamanashi
標高、風、石、雨。VIGNE 8は八つの小さな斜面を別々に醸し、土地が一年で書いた違いをそのまま瓶に残すワイナリーです。

01 / Philosophy
収穫した瞬間から、ワインは畑の記録になります。VIGNE 8がすることは、その記録を薄めないことだけです。醸造家が変えるのは、記録の順番ではなく、それをどれだけそのまま残せるかだけだと考えています。
8つの斜面をひとつのタンクにまとめません。収穫日も酵母も別々に。混ぜるかどうかは、最後の最後に舌で決めます。同じ品種でも斜面が違えば、別のワインとして扱います。
補糖はせず、天然酵母のリズムに任せます。二酸化硫黄は必要な最小限のみ。骨格はすでに畑が持っているという考え方です。発酵が止まりかけても、温度を上げて急がせることはしません。
滓引きのタイミングも、コルクを打つ日も、カレンダーではなく味で決めます。早く出すことより、その年らしくあることを選びます。出荷が翌年にずれ込むことも珍しくありません。
02 / Eight slopes
隣り合う畑でも、土と風は違う。混ぜる前に、一つずつ味わいます。

Koshu · 白 · 南向き砂礫
河岸段丘の名残である砂礫層が水はけを良くし、根を深く伸ばす区画。塩を思わせるミネラルと柑橘の香りが、朝霧の残る谷間の空気そのままに立ち上がります。

Koshu(スキンコンタクト) · 橙 · 南東向き粘土質ローム
粘土質のローム層に朝日がまっすぐ差し込む区画。果皮を少し残して醸すことで、白桃の蜜と土の温度が同居する骨太な甲州になります。

Muscat Bailey A · 赤 · 西向き石灰質の石段
斜面を石垣状に区切った、風の通り道にある区画。昼夜の寒暖差が色素と香りを凝縮させ、プラムと燻香を帯びたマスカット・ベーリーAが育ちます。

Pinot Noir · 赤 · 北東向き火山灰土
過去の噴火に由来する火山灰土が薄く積もる区画。水はけが良い分、根は水を求めて深く伸び、赤い果実と下草の香りを持つピノ・ノワールになります。

Merlot · 赤 · 南西向き砂質ローム
小石混じりの砂質ロームが日中の熱を保つ区画。夕方まで陽が長く残り、黒系果実とタバコの葉を思わせる骨格のあるメルローに仕上がります。

Koshu(ロゼ用) · 桃 · 東向き棚仕立て・沖積土
唯一の平坦地で、棚仕立てにより房が涼しい風を受ける区画。早めに収穫した甲州は、グレープフルーツと海の塩気を思わせる淡いロゼの土台になります。

Chardonnay(スパークリング用) · 白 · 北向き粘板岩
粘板岩の岩盤が薄い土壌の下に広がる、冷涼な区画。青リンゴのような硬い酸を保ったまま熟し、瓶内二次発酵用シャルドネの主原料になります。

Chardonnay · 白 · 北向き粘土質
粘土質土壌が水を蓄え、ゆっくりとした成熟を促す区画。洋梨の香りと石灰のようなミネラルを持つシャルドネが、毎年安定して穫れます。
03 / Current release
八つの区画を、八つの小さなキュヴェとして。品種もヴィンテージも、あえて揃えません。

甲州 · Vintage 2024 · 720本限定
01の南向き砂礫区画で育った甲州から。朝霧の残る谷の空気そのままに柑橘の香りで始まり、時間とともに白い花とミネラルの余韻へと開いていきます。刺身や白身魚のカルパッチョなど、素材の輪郭を活かす料理によく合います。
¥4,200(税込)
甲州(スキンコンタクト) · Vintage 2023 · 360本限定
02の南東向き陽土区画、朝日をまっすぐ受ける粘土質ロームの甲州です。果皮を残して醸すことで白桃の蜜と土の温度が同居する香りから始まり、時間を置くほどナッツやドライアプリコットの深みへと広がります。鶏の炭火焼きや味噌を使った料理との相性が良いキュヴェです。
¥5,200(税込)
マスカット・ベーリーA · Vintage 2022 · 540本限定
03の風の通り道にある石灰質の石段区画のマスカット・ベーリーAです。プラムの香りとともに注いだ直後から燻香が立ち上がり、時間の経過で穏やかな樽香へと落ち着きます。うなぎの蒲焼きや焼き鳥のたれ味など、甘辛い和の味付けと好相性です。
¥5,800(税込)
ピノ・ノワール · Vintage 2022 · 300本限定
04の北東向き火山灰土区画で育つピノ・ノワールです。開けた直後は赤い果実の香りが先行し、グラスの中で下草や腐葉土を思わせる複雑な香りへと変化していきます。ジビエや鴨のロースト、きのこ料理と合わせると余韻の長さが際立ちます。
¥7,200(税込)
メルロー · Vintage 2022 · 420本限定
05の南西向き砂質ローム区画、日中の熱を長く保つ礫壌で育つメルローです。黒系果実の凝縮した香りから始まり、時間とともにタバコの葉のような骨格のある余韻に変わります。牛肉の赤ワイン煮込みや炭火焼きステーキなど、しっかりした肉料理向きです。
¥6,600(税込)
甲州(ロゼ) · Vintage 2024 · 400本限定
06の唯一の平坦地、棚仕立てで涼しい風を受ける区画の甲州から造るロゼです。グレープフルーツと海の塩気を思わせる香りで軽やかに始まり、後半にほのかな苺のニュアンスが顔を出します。冷やした前菜や塩気のある白身魚のカルパッチョとともにどうぞ。
¥4,600(税込)
シャルドネ(瓶内二次発酵) · Vintage 2023 · 260本限定
07の冷涼な北向き粘板岩区画のシャルドネを、瓶内二次発酵で3年ほど熟成させたスパークリングです。青リンゴの硬い酸で始まり、澱との接触による香ばしいパンのニュアンスへと展開します。天ぷらや前菜の一皿目、乾杯の一杯としてもおすすめです。
¥8,500(税込)
シャルドネ · Vintage 2024 · 480本限定
08の北向き粘土質区画、水を蓄えてゆっくり熟すシャルドネです。洋梨の香りで始まり、石灰のようなミネラル感が余韻に長く残ります。バターを使ったポワレやクリーム系のパスタなど、コクのある料理と合わせるとより引き立ちます。
¥6,400(税込)

04 / Small cellar
朝の気温が上がる前に、区画ごとに手摘みで収穫します。傷んだ房はその場で選り分け、タンクへは健全な果実だけを運びます。
畑由来の天然酵母の働きを見守り、温度を上げて急がせることはしません。発酵が落ち着くまで、時に3週間近くかかることもあります。
ブレンドする前の区画ごとの違いを、そのまま小ロットで瓶詰めします。同じ品種でも斜面が違えば別のワインとして扱う、という方針の実践です。
瓶内でさらに数ヶ月休ませ、澱と味が落ち着いたタイミングを見極めてから出荷します。区切りをつけるのは暦ではなく、味わいです。
05 / Vintage notes
同じ区画でも、年によって語る言葉は変わります。2022年から2026年までの生育記録です。

4月中旬の遅霜で、特に北向きの区画は萌芽が10日ほど遅れました。その後は大きな乱れのない夏が続きましたが、出足の遅れを取り戻すように収穫は10月末までもつれ込みます。糖度の上がりは例年より緩やかだった一方、酸はしっかり残り、骨格の強い赤ワインが生まれた年です。SLOPE04の灰土区画には、この年の記憶がそのままボトルに残っています。
7月から9月にかけて高温の日が続き、糖度の上昇がいつもより早く進みました。とりわけ日照時間の長い南向き区画では、例年より10日ほど早い収穫になっています。凝縮感のある果実味が特徴で、陽土のキュヴェ(SLOPE02)にはこの年らしい厚みが出ました。灌水を最小限に抑えたことで、根が深く水を求めた結果とも考えています。
6月から7月にかけて降水量が多く、房の状態を一つひとつ見極める選果に例年以上の時間をかけました。湿気の影響を受けやすい平地の区画(SLOPE06)では、選別後の収量が例年の7割程度にとどまっています。ただし残した果実の質は高く、香りの高い白ワインとロゼに仕上がりました。手間のかかった分、瓶を開けたときの香りの豊かさには自信があります。
大きな気象の乱れがなく、開花から収穫まで例年通りのペースで進みました。糖度・酸のバランスも安定しており、8区画すべての個性を比較しやすい、いわば基準となる年になっています。醸造チームの間では「まず2025年のノートを見返す」ことが多く、判断の物差しとして扱っています。天候に振り回されなかった分、区画そのものの個性がはっきり出た年でもあります。
8月上旬まで日照に恵まれ、着色は例年より5日ほど早く進んでいます。まとまった降雨もなく、房の状態は全体に良好です。北の区画(SLOPE07・08)から9月20日頃、南の区画は10月上旬にかけての収穫を見込んでいます。台風の影響が出やすい時期でもあるため、最終的な収穫時期は天候を見ながら判断していきます。
06 / The people
栽培から接客まで、少人数だからこそ全員が畑を知っています。

醸造家 / 代表
山梨とブルゴーニュでの修業を経て、2016年にVIGNE 8を開墾しました。畑に立つ時間が一番長い代表で、収穫期は誰よりも早く区画に入ります。
「答えは畑にある。迷ったら、まず斜面を歩く。」

副醸造家
分析よりも先に、必ず口に含んで判断するタイプです。8区画すべての発酵温度を毎朝記録し、変化を数値と舌の両方で追っています。
「数字は後からついてくる。まずは舌で覚える。」

栽培責任者
剪定と土づくりを担当して18年になります。天気予報より先に、まず自分の畑の風を見に行くのが毎朝の習慣です。
「土を触れば、今年の答えが半分わかる。」

テイスティングルーム責任者
見学とテイスティングの案内役を務め、ワインに合わせる小さな料理も担当しています。お客様の好みを聞きながら注ぐ順番を組み立てるのが得意です。
「一杯目より、二杯目でお客様の表情が変わる瞬間が好きです。」
07 / Visit the slopes
予約制で、少人数のみご案内しています。動きやすい靴でお越しください。
8区画のうち3つを実際に歩き、土と傾斜の違いを見比べます。
区画違いの白と赤、あわせて5種を飲み比べます。運転される方にはノンアルコールをご用意します。
セラー見学のあと、地元食材を使った小皿3品とワインを合わせてお楽しみいただきます。
10:00 / 13:00発の2部制です。ワイナリー入口で受付をし、動きやすい靴・服装でお越しいただいているかを確認します。
8区画のうち3区画程度を巡り、土と傾斜の違いを実際に見ていただきます。雨具は貸出しています。
区画違いのワインを比較しながら、醸造家またはスタッフがご案内します。ノンアルコールのご用意もあります。
直売所で気に入った1本をお選びいただけます。オンライン発送は行っていないため、お持ち帰りが基本です。
小雨程度であれば実施します。荒天が予想される場合は前日までにご連絡し、テイスティングのみへの変更またはキャンセルをご案内します。
見学のみのご参加は可能です。畑の斜面には足場が悪い箇所もあるため、小さなお子様は抱っこ紐やベビーカーでの同行が難しい場合がありますので事前にご相談ください。
08 / Where to find us
直売所に加え、日本ワインを専門に扱う酒販店やレストランのグラスワインとして、少量ずつお取り扱いいただいています。区画ごとの限定生産のため、在庫状況は店舗により異なります。取扱店の追加や入荷情報は、Journalでその都度お知らせしています。
提携する酒販店経由のオンラインストアで、一部キュヴェをご案内しています(在庫状況により売り切れの場合があります)。
オンラインストアを見る ↗09 / Journal
取材や受賞の告知ではなく、日々の作業からの近況です。
北の区画で仕込んだシャルドネによる瓶内二次発酵のスパークリングが、3年の熟成を経て初めてリリースされました。
8区画すべての瓶詰め作業が完了しました。今年は例年よりやや早い作業となりました。
地域の方々と一緒に区画を歩き、搾汁体験を行いました。次回は2026年10月に開催予定です。
醸造タンクを見渡せるカウンター席を新設しました。
小規模生産者の視点から、審査コメントを担当しました。
10 / FAQ
予約・購入に関するお問い合わせの多い内容をまとめました。
はい、全コース予約制です。3日前までのご連絡をお願いしています(本サイトはデモのため、実際の予約受付は行っておりません)。
見学のみのご参加は可能です。テイスティングでは運転される方・未成年の方向けにノンアルコールをご用意しています。
直売所での購入が可能です。区画ごとの限定生産のため、品種によっては早い時期に売り切れることがあります。
提携する酒販店経由でのオンライン販売をご案内しています。ご購入の際は20歳以上であることの確認をお願いしています。
ご予約前日18時までは無料でキャンセルいただけます。当日キャンセルはコース料金の50%を頂戴しています。
現地では現金と主要クレジットカードに対応しています。オンラインはクレジットカード決済のみとなります。
11 / The winery
山梨県甲州市、8つの斜面に囲まれた小さな醸造所です。年間の生産本数は少なく、栽培から瓶詰めまでを4人の少人数体制で行っています。
12 / Walk the slopes